ホスピスの入院条件とは?ホスピス型住宅の入居条件や費用も解説
2025.01.11 2025.02.01
ホスピスケアを受けたいと考えている方の中で、病院への入院やホスピス型住宅への入居を検討しているケースは多いのではないでしょうか。ホスピスを受けるには一般病棟または緩和ケア病棟への入院、ホスピス型住居への入居が必要で、それぞれ条件があります。
この記事では、ホスピスの入院・入居条件について詳しく解説していきます。また、ホスピスにかかる費用や入院・入居ができないケースについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
【この記事のポイント】
- ホスピスの入院・入居条件には、がん末期などの重い疾患と診断された方であることがあげられる
- ホスピスケアを受けるには、一般病棟・緩和ケア病棟への入院に加えて、ホスピス型住居への入居といった方法がある
- ホスピスで入院する場合は病院の場合約30日程度が目安の滞在期間であり、ホスピス型住居に入居する場合は終身利用が可能となっている
ホスピスの入院条件・対象者
ホスピスを受けるために、病院への入院を検討している方は多いでしょう。入院するには条件があり、対象者にも制限があります。また、ホスピスで入院する病院には2つの種類があり、それが以下のとおりです。
- 一般病棟
- 緩和ケア病棟
それぞれの病棟における条件や対象者について、以下で詳しく解説していきます。
<参考>
ReHOPE|ホスピスの入院・入居条件とは?対象となる疾患や特徴を解説
一般病棟への入院条件・対象者
ホスピスを受けるために一般病棟へ入院する場合、条件を満たす対象者は以下のとおりです。
ホスピスを一般病棟で受ける場合の入院条件・対象者
- がん末期と診断された方
- エイズと診断された方
- 余命6ヶ月以内と診断された方
- 患者やその家族が希望する場合
一般病棟で受けるホスピスケアは、患っている病気の治療と並行して行われます。
緩和ケア病棟への入院条件・対象者
緩和ケア病棟とは、病気に伴う身体的な痛みと精神的な痛みを和らげるために行われる、緩和ケアを専門とした病棟のことです。ホスピスを受けるために緩和ケア病棟に入院するには、以下の条件があります。
ホスピスを一般病棟で受ける場合の入院条件・対象者
- がん末期と診断された方
- エイズと診断された方
- 病気や今後について説明を受けたうえで入院を希望する方
- ケアを受けることを医者から認められている方
なお、病棟の定員がいっぱいの場合は、症状が重い方が優先して入居できます。また、病院によって入院条件が異なることもあるため、申請する前に必ず条件や対象者を確認しましょう。
ホスピス型住居への入居条件・対象者
ホスピスは、病院のほかホスピス型住居でも受けられます。ホスピス型住居に入居する条件・対象者は、以下のとおりです。
ホスピス型住居への入居条件・対象者
- 厚生労働大臣が定める疾病等と診断された方
- 医療依存度が高いと判断された方(人工呼吸器を使用しているなど)
- 病気や今後について説明を受けたうえで入居を希望する方
ただし、上記の条件はあくまでも一般的なものであり、施設によって条件や対象者が異なるケースがあるので、必ず入居を希望する施設のホームページなどを確認しましょう。
厚生労働大臣が定める疾病等に該当する疾患
厚生労働大臣が定める疾病等に該当する疾患
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病疾患
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態(夜間無呼吸のマスク換気は除く)
参考:厚生労働省|訪問介護のしくみ
ホスピスの入院・入居にかかる費用
ホスピスの入院・入居にかかる費用は、どの病院(施設)に入るかによって異なってきます。以下では病院に入院する場合とホスピス型住居に入居する場合で分けて紹介していくので、参考にしてみてください。
ホスピスの入院にかかる費用
ホスピスの入院にかかる費用は、厚生労働省により1日47,910円と定められています。しかし、入院費には健康保険料が適用されるため、負担する金額は1割または3割です。
緩和ケア病棟に入院する際にかかる費用目安は、以下表を参考にしてください。
緩和ケア病棟1 | 緩和ケア病棟2 | |
1割負担 | 1〜30日:5,107円/月 31日〜60日:4,554円/月 61日以上:3,350円/月 |
1〜30日:4,870円/月 31日〜60日:4,401円/月 61日以上:3,298円/月 |
3割負担 | 1〜30日:15,321円/月 31日〜60日:13,662円/月 61日以上:3,350円/月 |
1〜30日:14,610円/月 31日〜60日:13,203円/月 61日以上:9,884円/月 |
※病棟1、2は病棟が満たす施設基準によって異なるため、どちらに該当するのか知りたい方は入院を希望する病棟に問い合わせしてください
また、ホスピスを利用するには、入院費のほかに食費や差額ベッド代などがかかります。食費は1食当たり490円と決められており、差額ベッド代は病院によって異なります。さらに、おやつや寝具のリースなどを追加する場合は別途費用がかかるため、事前に受けるサービスと必要な費用を確認しましょう。
なお、負担割合は、70歳未満の方が3割、70歳以上の方が1〜3割となっています。
ホスピス型住居への入居にかかる費用
ホスピス型住居への入居には、家賃等の固定費、保険サービス自己負担費用、生活費がかかります。固定費や生活費は入居する施設によって異なりますが、保険サービス自己負担費用は介護保険制度によって定められており、以下のとおりです。
自己負担分(1割) | 自己負担分(2割) | 自己負担分(3割) | |
要支援1 | 50,320円 | 164,00円 | 150,960円 |
要支援2 | 105,310円 | 210,620円 | 315,930円 |
要介護1 | 167,650円 | 335,300円 | 529,500円 |
要介護2 | 197,050円 | 394,100円 | 591,150円 |
要介護3 | 270,480円 | 540,960円 | 811,440円 |
要介護4 | 393,800円 | 618,760円 | 928,140円 |
要介護5 | 362,170円 | 724,340円 | 1,086,510円 |
参考:厚生労働省「サービスにかかる利用料」
また、施設によっては固定費のほか入居費用が必要になることもあります。金額も施設によって異なるため、事前にどの費用がどれくらいかかるのか、HPなどで必ず確認してください。
ホスピスに滞在する期間目安
ホスピスに滞在する期間は、病院とホスピス型住居によって異なります。それぞれの目安となる期間は、以下表を参考にしてください。
病院 | ホスピス型住居 |
平均30日未満(〜45日ほどのケースも) | 終身利用が可能で制限なし |
また、入院するタイミングとしては、患者自身が入院する意思表示を示してから、約2週間以内に入院するケースがほとんどです。
<参考>
一般社団法人 日本がん難病サポート協会|緩和ケアとホスピスケアの違いとは?
ホスピスに入院・入居できないケース
ホスピスの入院条件・入居条件を満たしている場合でも、以下にあてはまるケースでは入院・入居が断られてしまう可能性があります。
- 自宅療養が可能だと判断された
- ホスピスの対象となる疾患以外の治療が優先された
- 他の患者へ悪影響が及ぶと判断された
自宅療養が可能だと判断された
疾患の症状が緩和されている状態にあり、自宅療養が可能であると判断されると、入院が認められないケースがあります。ホスピスは、身体的・精神的な痛みを和らげて症状を緩和させる目的で提供される施設であるため、ホスピスによるケアの効果が出にくいと判断されれば基本的に入院・入居できません。
また、ホスピスで病院に入院する場合の滞在期間は約30日間であり、それ以上の日数に達した段階で自宅療養を進められるケースもあります。
ホスピスの対象となる疾患以外の治療が優先された
ホスピスに入院・入居する条件として、がん末期やエイズなどの疾患を患っていることがあげられます。しかし、対象となる疾患以外の治療が優先であると主治医から判断された場合、入院・入居が断られてしまうかもしれません。
この場合は、治療が進んで最も優先すべき疾患がホスピスの対象になった段階で、ホスピスへの入院・入居を申請しましょう。なお、患者や家族に入院の意思があったとしても、認められなければ入院・入居はできません。
他の患者へ悪影響が及ぶと判断された
ホスピスに入院・入居すると、一緒に生活する方たちとレクリエーションを行うなど、他人と関わるシーンが増えてきます。そのため、他の患者へ悪影響が及ぶ迷惑行為など起こすと判断されてしまうと、ホスピスへの入院・入居はできません。
とくに認知症を患っている方が施設側から断られてしまうケースが多く、認知症患者がホスピスに入院・入居するのは難易度が高いといえます。
ホスピスに入院・入居するタイミング
ホスピスに入院・入居するタイミングは、明確な決まりがあるわけではありません。ホスピスの対象と判断され、本人に入院する意思があれば、基本的にいつでも入れます。
目安となるタイミングとしては、ホスピスケアや緩和ケアが必要となる治療や手術の前が適切です。ただし、あくまでも本人の意思が尊重されるため、家族がどれだけ入院・入居を希望していても、本人が望んでいなければ認められません。
まとめ
ホスピスの入院・入居条件は、主にがん末期などの重い疾患を患っており、本人が入院・入居を望んでいることです。また、ホスピスは病棟に入るかホスピス型住居に入るかによって、費用と滞在期間が異なります。
病棟の場合は入院費用について厚生労働省が定めており、約30日間の滞在が一般的です。ホスピス型住居の場合は施設によって費用が異なり、基本的に終身まで滞在できます。自分に合った施設にはいるためにも、まずは家族と一緒に見学して環境や雰囲気を実際に確かめてみましょう。
FAQ
ホスピスの入院条件は?
ホスピスの入院条件は、一般病棟と緩和ケア病棟のどちらに入院するかによって若干違いがあります。主な条件は、がん末期やエイズなどの重い疾患を持つ方やホスピスを希望する方であることです。詳しくは記事内「ホスピスの入院条件・対象者」をご覧ください。
ホスピスの入院・入居に必要な持ち物は?
ホスピスの入院・入居では、着替えやタオルなど基本的な生活用品が必要です。また、日頃から使用している杖やメガネなどがある場合は、忘れずに用意しましょう。おむつを履いている方は、施設での購入も可能です。
ホスピスに入居できる対象者は?
ホスピスに入居するには、厚生労働大臣が定める疾病等と診断された方である必要があります。また、そのうえでホスピスへの入居を本人自身が希望していることが、対象者としての必須条件です。詳しくは記事内「ホスピス型住居への入居条件・対象者」をご覧ください。
ホスピスの入院費用はどれくらい?
ホスピスの入院費用は、1日47,910円と厚生労働省が定めています。しかし、健康保険が適用され実質の負担額は1割〜3割となるため、1日あたりにかかる費用は安くなります。詳しくは記事内「ホスピスの入院・入居にかかる費用」をご覧ください。